Q.父が死亡し私が相続人になりました。父には多額の借金があり、財産より債務が多い状況のため相続放棄を検討しています。相続放棄をすると私が受取人に指定されている生命保険金も受取れないのですか?
A.あなたが受取人に指定されている生命保険金は、相続財産ではなく受取人(あなた)の固有の財産となります。そのため、相続放棄をしても生命保険金を受取ることができます。
相続税を計算する場合には、相続放棄をした者が受取った生命保険金は相続人以外の者が遺贈により取得したものとみなされ、相続人が生命保険金を受け取った場合の非課税の適用はありません。(相法3、12)
相続放棄は、原則として相続開始から3か月以内に、家庭裁判所に申述する方法により行う必要があります。家庭裁判所への手続きを専門家に任せる場合、弁護士、司法書士にご相談ください。
相続税法
(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)
第三条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第十五条、第十六条、第十九条の二第一項、第十九条の三第一項、第十九条の四第一項及び第六十三条の場合並びに「第十五条第二項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。
一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(保険業法 (平成七年法律第百五号)第二条第三項 (定義)に規定する生命保険会社と締結した保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下同じ。)その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は損害保険契約(同条第四項 に規定する損害保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては、当該保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)について、当該保険金(次号に掲げる給与及び第五号又は第六号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち被相続人が負担した保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分
(相続税の非課税財産)
第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
五 相続人の取得した第三条第一項第一号に掲げる保険金(前号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分
イ 第三条第一項第一号の被相続人のすべての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「保険金の非課税限度額」という。)以下である場合 当該相続人の取得した保険金の金額
ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合 当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額